プログラミング不要?Claude Codeで税理士が自社専用ツールを開発する手順【初心者向け解説】
プログラミング不要?Claude Codeで税理士が自社専用ツールを開発する手順
税理士事務所の業務は、記帳代行・申告書作成・年末調整・顧問先対応など、定型作業とチェック作業の連続です。
「この作業、もう少し自動化できないかな?」と感じつつも、プログラミングが分からないから諦めている方は多いのではないでしょうか。
本記事では、対話型AI「Claude(クロード)」の開発機能であるClaude Codeを使って、
プログラミング未経験の税理士が、自社専用の業務ツールを作るための手順を、具体的なイメージが持てるように解説します。
タイトルにある通り、基本的な考え方と指示の出し方さえ押さえれば「ほぼプログラミング不要」でツール開発が可能です。
「完全にノーコード」というよりは、AIにコードを書かせる“ゆるコード”開発と考えてください。
1. Claude Codeとは?税理士にとってのメリット
1-1. Claude Codeの概要
Claude Codeは、生成AI「Claude」の中にあるプログラミング支援・実行専用モードです。
GitHubのような開発環境と、チャットAIが一体化しており、
- AIがコードを自動生成する
- その場でコードを実行して結果を確認する
- 修正指示をチャットで出すと、AIがコードを書き換える
といったことが、ブラウザだけで完結します。
1-2. 税理士がClaude Codeを使うメリット
税理士がClaude Codeを活用すると、次のようなメリットがあります。
- Excelマクロやスプレッドシート操作の自動化
仕訳データの整形、試算表のレイアウト変換、CSVインポートなど。 - 顧問先ごとのチェックリストや審査ロジックの自動判定
売上推移の異常検知、経費科目の異常値チェックなど。 - 社内用ミニWebツールの作成
「数値を入れたら自動計算・自動コメント生成」するような業務支援ツール。 - 人に依存していた属人業務を、ツールに置き換えて標準化
特に、毎月・毎年必ず発生する定型作業は、Claude Codeと非常に相性が良い領域です。
2. まずは「何を自動化したいか」を決める
2-1. いきなりコードの話はしない
最初にやるべきことは、プログラムのことを考えることではなく、業務プロセスの棚卸しです。
次のような観点で、事務所内の作業を書き出してみてください。
- 毎月必ず発生する定型作業
- 手作業でエクセルをコピペしている作業
- チェックリストを目で追って確認している作業
- 人によってやり方がバラバラになっている作業
2-2. Claude Code向きの題材を選ぶポイント
上記の中から、1つだけ題材を選びます。初回は次の条件を満たすものがおすすめです。
- 入力と出力が明確(例:CSVを読み込んで、別形式のCSVを出す)
- 判断ルールがある程度、文章で説明できる
- 「100点満点」より「60〜80点でも作業時間が減ればOK」と割り切れる
例として、以下のようなツールが典型的です。
- 会計ソフトから出した仕訳CSVを、別ソフト用のインポート形式に変換するツール
- 顧問先の月次データから、売上・利益の異常値を自動でピックアップするツール
- 年末調整の控除証明書チェックリストを、自動で判定するツール
3. Claude Codeで開発するための準備
3-1. 必要なもの
Claude Codeを使うために必要なものは、次の3つだけです。
- インターネットにつながるパソコン(ブラウザはChrome推奨)
- Claudeが利用できるアカウント(有料版だとより安定して使えます)
- 自動化したい業務のサンプルデータ(ダミーデータ推奨)
3-2. セキュリティ・守秘義務への配慮
税理士業務では、個人情報・機微情報をAIにそのままアップロードしないことが大前提です。
- 顧客名・住所・マイナンバーなどは、必ずダミー情報に置き換える
- 金額や取引内容は、実務に近い範囲でサンプルデータを作る
- 機密性の高いロジックは、要約して伝える(詳細は自社側で補完)
Claude Codeはあくまで開発支援ツールと考え、実運用環境でのデータ取り扱いは、社内ルールに従ってください。
4. 税理士がClaude Codeで自社ツールを作る基本ステップ
ここからは、プログラミング未経験の税理士でも再現しやすい手順を、4ステップで整理します。
ステップ1:やりたいことを「仕様書風」に文章で伝える
Claude Codeの画面を開いたら、まずは人に説明するつもりで要件を書きます。
ポイントは次の5つです。
- 目的:何のためのツールか(例:仕訳CSVを別形式に変換する)
- 入力:どんなファイル・どんな項目が入ってくるか
- 出力:どんな形式で、何を出したいか
- ルール:変換や判定のルール(例:科目AはBにマッピング)
- 操作方法:ブラウザ上の画面にしたいのか、コマンド実行で良いのか
例文:
税理士事務所で利用する、仕訳CSVの変換ツールを作りたいです。
【目的】
・会計ソフトAから出力した仕訳CSVを、会計ソフトBにインポートできるCSV形式に変換する。
【入力】
・会計ソフトAの仕訳CSV(サンプルを添付します)
・主な項目は、日付、借方科目、貸方科目、金額、摘要、補助科目 など。
【出力】
・会計ソフトBのインポート形式に合わせたCSV(レイアウト仕様は別紙PDFの通り)。
【ルール】
・勘定科目名は、科目対応表(別途CSVで添付)に基づいて変換する。
・対応表にない科目があれば、「その他(要確認)」という科目にまとめる。
【操作方法】
・ブラウザで使える簡単な画面が欲しいです。
・画面上で「入力CSV」と「科目対応表CSV」をアップロードすると、「変換後CSV」をダウンロードできるようにしてください。
この程度まで書ければ、あとはClaude Codeが必要なコードを提案してくれます。
ステップ2:サンプルデータをアップロードしてAIに理解させる
文章だけでは伝わりきらない部分は、サンプルファイルをアップロードして補います。
- 仕訳CSVのサンプル(実データを加工したダミー)
- 会計ソフトBのインポート仕様書(PDFやExcel)
- 科目対応表(ExcelまたはCSV)
アップロードしたら、次のように伝えます。
これが会計ソフトAの仕訳CSVのサンプルです。
この形式を読み取り、先ほど説明した仕様に沿って、会計ソフトB用のCSVを生成するプログラムを作ってください。
プログラミング初心者でも扱えるよう、丁寧なコメントと、使い方の説明も日本語で付けてください。
ステップ3:Claude Codeが生成したツールを試す
Claude Codeは、指示に基づいて
- プログラム本体(Pythonなど)
- 簡易的なWeb画面(HTML+JavaScriptなど)
- 操作方法(README)
を一式自動生成してくれます。
生成されたら、そのままClaude Code内でサンプルデータを使って実行テストを行います。
「実行」ボタンや、AIが案内してくれるコマンドに従うだけで構いません。
テスト結果を見て、
- 列の並び順が正しいか
- 科目変換が想定どおりか
- エラーが出ていないか
などを確認します。
ステップ4:気になった点をそのまま日本語で修正依頼する
うまくいかなかった箇所や、使い勝手が悪いと感じた点は、そのまま日本語でフィードバックします。
例:
・日付の形式を「YYYY/MM/DD」から「YYYY-MM-DD」に変更してください。
・科目対応表に存在しない科目があった場合は、エラーにせず、ログに記録しつつ「その他(要確認)」にまとめてください。
・画面に変換処理の進捗バーを表示してください。
人間のエンジニアに仕様変更を依頼するイメージで、一度にまとめて伝えると精度が上がりやすいです。
複数回に分けても問題ありませんが、前後の整合性が取れなくならないよう、「最新版の仕様」を常に明示するようにしましょう。
5. 具体例:税理士向けの自社専用ツールアイデア
ここからは、Claude Codeで比較的作りやすく、実務でも役立つ税理士向けツールの具体例をいくつか紹介します。
5-1. 顧問先の月次チェック自動化ツール
目的: 月次試算表の異常値チェックを自動化し、レビュー時間を短縮する。
入力:
- 月次試算表データ(CSVまたはExcel)
- 前年同月の比較データ
出力:
- 売上・利益・主要経費の増減率レポート
- 増減が一定以上の科目一覧(例:+30%以上、−30%以上)
- AIによるコメント案(例:「広告宣伝費が前年同月比+80%増加しています」など)
Claude Codeへの指示イメージ:
税理士として月次レビューに使うチェックツールを作りたいです。
【要件】
・試算表のCSV(サンプル添付)を読み込み、前年同月と比較して、増減率を計算してください。
・増減率が+30%以上または−30%以下の科目を一覧化してください。
・その結果を、ExcelまたはCSVで出力してください。
・さらに、増減の大きい科目について、日本語で簡単なコメントを自動生成してください。
・ブラウザ上からファイルをアップロードして、結果をダウンロードできるようにしてください。
5-2. 年末調整の書類チェック支援ツール
目的: 年末調整で提出される控除証明書やチェックリストの確認を部分的に自動化する。
入力:
- 従業員リスト(家族構成・生年月日などが含まれるダミーデータ)
- 必要書類リスト(扶養控除、配偶者控除、保険料控除など)
出力:
- 各従業員ごとに「必要書類が揃っているか」のチェック結果
- 不足している書類一覧と、依頼文テンプレート
Claude Codeへの指示イメージ:
年末調整の書類チェックを支援するツールを作りたいです。
【要件】
・従業員の属性情報(サンプルExcel添付)を読み込みます。
・年齢、家族構成、所得水準などから、その人に必要な控除証明書の種類を判定してください。
・提出済み書類リストと照合し、「不足している書類」を一覧にしてください。
・不足書類がある従業員には、メール文面のテンプレートを自動生成してください。
・社内で使うだけなので、ブラウザ上の簡単な画面で構いません。
5-3. 書面添付・税務調査対策メモ自動生成ツール
目的: 決算時に作成する書面添付や、税務調査を見据えた社内メモを、データベースから自動生成する。
入力:
- 決算書の主要指標(売上、利益、棚卸、役員報酬など)
- 前期比較データ
- 特記事項メモ(人が入力したテキスト)
出力:
- 書面添付のたたき台文章
- 税務調査で聞かれそうなポイントのリスト
Claude Codeへの指示イメージ:
決算書の数値と簡単なメモから、書面添付のたたき台を自動生成するツールを作りたいです。
【要件】
・決算書の主要科目データ(CSV)と、担当者メモ(テキスト)を読み込みます。
・売上や棚卸資産の増減が大きい場合は、その理由をメモから拾って、文章に反映してください。
・書面添付の一般的なフォーマットに沿ったテンプレート文章を用意し、数値やメモを差し込んでください。
・出力はWordファイルまたはテキストファイルでお願いします。
6. 「プログラミング不要」に近づけるためのコツ
Claude Codeを使えば、細かいコードはAIが生成してくれますが、完全に丸投げすると期待通りのツールにならないこともあります。
ここでは、プログラミング知識がなくても質の高いツールを作るためのコツをまとめます。
6-1. 「やりたいこと」と「やりたくないこと」を明確にする
AIに伝えるときは、ポジティブな要件(〜してほしい)だけでなく、ネガティブな要件(〜はしないでほしい)も書くと誤解が減ります。
- 例:「ブラウザ画面は英語ではなく日本語表示にしてください。」
- 例:「外部のクラウドサービスにはデータを送信しないようにしてください。」
- 例:「コマンドライン操作は最小限にして、できるだけクリック操作で完結させてください。」
6-2. 小さく作って、少しずつ育てる
一度に多機能なツールを作ろうとすると、仕様が複雑になり、AIも人も混乱します。
最初は、
- まずは「入力→出力」がまっすぐ通る「骨組み」だけを作る
- その後、例外処理や細かいチェックを追加する
という順番で進めると、結果的に早く安定したツールになります。
6-3. 「テストケース」を一緒に作ってもらう
AIにコードを書かせるときは、同時にテストデータとテスト手順も生成してもらうと便利です。
例:
このプログラムの動作確認に使うテストデータ(小さなCSV)と、
期待される出力結果の例も作ってください。
また、人間が目で確認するためのチェックリストも日本語で作成してください。
こうしておくと、将来ツールを改修したときに、以前と同じように動いているかを簡単に確認できます。
7. Claude Code導入を事務所全体に広げる際のポイント
個人としてClaude Codeに慣れてきたら、事務所全体の業務改善プロジェクトとして展開することも考えられます。
7-1. 「AI担当者」を決める
いきなり全員にClaude Codeを触ってもらうのではなく、
- ITが比較的得意な職員
- 業務改善に興味があるスタッフ
から少人数のAI担当チームを作るとスムーズです。
7-2. 小さな成功事例を共有する
例えば、
- 「このツールで、月次仕訳の整形作業が1件あたり10分短縮できました」
- 「年末調整のチェックミスが◯件から◯件に減りました」
といった具体的な成果を、所内勉強会やチャットツールで共有すると、他のメンバーも関心を持ちやすくなります。
7-3. AIに任せる範囲を明確にする
税理士業務では、最終判断や説明責任はあくまで人間側にあります。
Claude Codeで作ったツールは、
- 単純作業の自動化
- チェック作業の事前スクリーニング
- 資料作成のたたき台づくり
といった「補助」的な役割に留め、重要な判断や顧問先への説明は、必ず税理士自身が行うように運用ルールを決めておきましょう。
8. まとめ:税理士こそClaude Codeで“半ノーコード開発”を
本記事では、「プログラミング不要?Claude Codeで税理士が自社専用ツールを開発する手順」として、
- Claude Codeとは何か、税理士にとってのメリット
- まず決めるべき「何を自動化するか」というテーマ選定
- 具体的な開発ステップ(要件整理 → サンプルアップロード → 実行テスト → 修正依頼)
- 顧問先の月次チェックや年末調整などの具体的なツール例
- プログラミング不要に近づけるためのコツと、事務所全体への展開方法
をお伝えしました。
税理士は、数字とルールに強い専門家です。
この能力は、実はAIにとって非常に相性の良い「仕様づくり」のスキルでもあります。
コードを書くのはAIに任せ、税理士は「何を、どう動かすか」を設計する側に回る。
この発想に切り替えることで、プログラミング未経験でも、Claude Codeを使って自社専用ツールを次々と生み出すことができます。
まずは、毎月必ず発生していて、手作業で時間を取られている業務から、ひとつ題材を選んでみてください。
それをClaude Codeに日本語で丁寧に説明するところから、税理士事務所の「半ノーコード開発」は始まります。
Claude Codeの具体的な画面イメージや、実際の指示例を知りたい方は、以下の動画も参考になります。
https://youtu.be/MDKJA5lqELo?si=bX5t8NNeb_ErYWPN