DXや生成AIの活用が一般化する中、企業の広報活動にも大きな変革の波が押し寄せている。
SNSの拡大、コンテンツ量の増加、消費者の情報獲得スピードの高速化により、「広報の仕事量は増え続けているのに、担当者の数は変わらない」という課題を抱える企業が増えている。

そんな中、近年急速に注目されているのが AI広報部 という概念だ。

AI広報部とは、企業の広報機能にAIを組み込み、
文章作成・画像生成・SNS運用・ニュース監視・PR分析などをAIが自動で遂行する“AIを中心とした広報組織” のことを指す。

これは単なるツール導入ではなく、これまで人間が行っていた広報業務を体系的にAI化し、
“人 × AI” の新しい広報組織をつくる取り組みである。

本記事では、AI広報部の定義から、導入メリット、活用領域、運用モデル、成功のポイントまで網羅的に解説する。

1. AI広報部とは何か？

AI広報部は、広報担当者の代わりにAIが実務を担い、企業の発信力を最大化させる仕組みである。

■ AI広報部が担う主な機能

• プレスリリースの自動生成
• SNS投稿（X／Instagram／LinkedIn）の自動作成 & スケジュール投稿
• 画像生成・動画生成によるクリエイティブ制作
• メディアリスト分析 & 記事化確率予測
• 競合ニュース・業界ニュースの自動監視
• 社内広報（社内報・Slack向けアナウンス）作成
• データ分析（投稿効果測定・PR効果分析）
• 取材対応メールの下書き生成

従来の広報業務の 約70〜80％をAIが自動化 できるため、
企業は広報活動の量と質を同時に向上させることが可能になる。

2. なぜ今「AI広報部」が必要なのか？

広報部門には、ここ数年で以下のような変化が起きている。

■ ① 発信チャネルの増加

X、Instagram、TikTok、YouTube、note、Wantedly……
広報が担当するチャネルはかつてないほど多様化した。

■ ② 情報鮮度が求められる

SNS時代では「3時間遅れただけで」反応率が大幅に下がる。
スピードが命だが、人間では限界がある。

■ ③ 広報人材の不足

小さな企業には広報専任者すらいない。
AIが広報担当の代わりを担うケースが急増している。

■ ④ AIの文章・画像品質が急激に向上

ChatGPT、Midjourneyなどの性能向上により、
専門ライター並みの文章や高品質な画像が数秒で生成できる。

こうした背景から、
「人だけの広報活動はすでに限界」
という認識が広がっており、AIを組織的に活用する“AI広報部”が注目されている。

3. AI広報部が実際に行う業務

AI広報部は、従来の広報活動の大部分をカバーできる。
ここでは代表的な業務を紹介する。

■ 1）プレスリリースの自動生成

入力するのは以下だけでよい：

• 何をリリースしたいか（製品情報）
• 機能・価格
• 企業情報
• 写真素材

AIがPR TIMES形式に整え、タイトル案を10案出すことも可能。
人間は最終チェックだけで済む。

■ 2）SNS運用の自動化

AIは以下をすべて自動化できる：

• 投稿案生成（1ヶ月30パターン作成も可能）
• キャッチコピー作成
• 画像生成（バナー・アイキャッチ）
• 投稿スケジュール設定
• エンゲージ分析（改善提案まで可能）

「担当者1人 → AI10人分の発信力」になる。

■ 3）ブランドのトンマナ統一

AIにブランドルールを学習させることで、

• 禁止ワード
• 書き方の統一（敬体／常体）
• 企業の価値観
• デザインルール

などを自動で守る文章・画像を作れる。

属人化の大きな課題が解消される。

■ 4）ニュースモニタリング

AIが以下を24時間監視し、要点をまとめて通知する：

• 業界ニュース
• 競合のリリース
• SNSトレンド
• メディアの反応（好意／不信）

これにより、企業の広報行動が“後追い”から“先回り”に変わる。

■ 5）画像・動画の自動制作

以下を数秒で生成できる：

• バナー
• プレゼン資料
• キービジュアル
• ティザー画像
• 会社紹介動画（ナレーション付き）
• 記事アイキャッチ

外注費の削減効果が特に大きい領域である。

■ 6）PR効果分析

AIは投稿やリリースのデータを解析し、

• 拡散しやすい文章構造
• 最適投稿時間
• 反応率が高い画像の傾向
• 記事化されやすいトピック

を抽出し、次の施策に提案する。

広報担当者の戦略精度が大幅に向上する。

4. AI広報部を導入するメリット

■ ① 発信量が圧倒的に増える

1人の広報担当者が1日1投稿 → AIなら1日10〜20投稿も可能

■ ② コスト削減

• SNS運用外注：月20万
• LP画像制作：1枚1〜3万円
• PR記事外注：1記事3〜10万円

これらがほぼ社内で完結する。

年間100万〜300万円の削減効果がある企業も多い。

■ ③ 情報発信の鮮度が上がる

24時間動くAIにより、
遅延ゼロでコンテンツを発信できる。

■ ④ 広報の属人化が解消される

AIが手順を学習するため、

• 担当者が退職
• ノウハウが引き継がれない

といった問題が起きない。

■ ⑤ 戦略タスクに集中できる

AIが作業を担当し、
人間は以下の“戦略業務”に力を注げる：

• メディアとの関係構築
• ブランド戦略
• 発信の方向性の策定

AI×人間の最強チームが完成する。

5. AI広報部の構築ステップ

ステップ1：広報業務の棚卸し

AI化できる業務を洗い出す。

ステップ2：AIツール選定

• 文章：ChatGPT
• 画像：Midjourney, DALL·E
• SNS：Buffer, Hootsuite
• 分析：Notion AI, Tableau

企業に合わせた最適化が必要。

ステップ3：ブランドルールの登録

AIにガイドラインを読み込ませる。

ステップ4：運用フローを整備

「生成 → 承認 → 投稿」を標準化する。

ステップ5：小さく始めてスケールする

いきなり全業務をAI化しない。
SNS運用など“負荷が大きく、AIが得意な領域”から始める。

6. AI広報部の課題と注意点

AI広報部には大きなメリットがある一方、注意点も存在する。

■ ① 誤情報のリスク

AIの生成物をそのまま公開するのは危険。
必ず人間の最終確認を行う。

■ ② 過剰な自動化

「AIっぽい文章」になる可能性があるため、企業らしさを残す工夫も必要。

■ ③ プライバシー・情報管理

社外秘情報の入力には注意が必要。
AI利用ポリシーの整備は必須。

7. AI広報部が企業にもたらす未来

今後、AI広報部は次のような姿へと進化する。

• 24時間自動でニュースを解析し、PRテーマを提案
• 自動でSNSキャンペーンを企画・デザイン
• 過去のデータから最も記事化される切り口を判断
• ブランドイメージを高めるビジュアルを自動生成
• 社内外のステークホルダーとAIが自動でコミュニケーション

つまり、AI広報部は 企業の“デジタルブランドマネージャー” として機能する未来がくる。

まとめ：AI広報部はすべての企業が導入すべき次世代の広報機能

AI広報部は、単なる業務効率化ではなく、
企業の発信力・ブランド価値を飛躍的に高める戦略的な取り組み である。

✔ 発信量が増える
✔ コストが下がる
✔ スピードが上がる
✔ 品質が安定する
✔ 担当者の負担が減る

これらすべてが同時に実現できるのは「AI広報部」だけだ。

これからの企業競争において、
AI広報部は“導入するかどうか”ではなく、
“いつ導入するか” の時代に入っている。