Power Automate/Power AppsのAI Builderとは?できること・始め方・料金を徹底解説
Power Automate/Power Appsの「AI Builder」とは?できることや料金を徹底解説
Microsoft Power Platform(Power Automate・Power Apps・Power BI など)を使って業務自動化やアプリ開発をしていると、「もっとAIを簡単に使えたらいいのに」と感じる場面が増えてきます。
そんなときに役立つのが、ノーコードでAIモデルを扱える「AI Builder」です。
この記事では、AI Builderの概要・できること(代表的なAIモデル)・料金体系・利用シナリオ・導入のポイントを、Power Automate/Power Appsユーザー向けにわかりやすく解説します。
1. AI Builderとは?概要と特徴
AI Builder(エーアイビルダー)は、Microsoft Power Platform(Power Apps・Power Automate など)に組み込まれているノーコード/ローコードのAI機能です。
プログラミングや機械学習の専門知識がなくても、以下のようなAIを簡単に利用できます。
- 画像から情報を読み取る(画像認識)
- PDFや請求書から項目を読み取る(フォーム処理)
- 手書き文字やアンケートの自由記述をテキスト化する(OCR/テキスト認識)
- 顧客の感情分析(ポジティブ/ネガティブ判定)
- 需要予測・離反予測などの予測分析
これらのAI機能をPower Automateのフローの中や、Power Appsのアプリ画面の中で、そのままアクションとして呼び出せるのが最大の特徴です。
1-1. AI Builderのポイント
- ノーコード/ローコード:ドラッグ&ドロップと簡単な設定だけでAIモデルを利用可能
- Power Platformとシームレス連携:Power Automate、Power Apps、Dataverse と標準で連携
- テンプレートが豊富:よくある業務(請求書処理、名刺読み取りなど)は、テンプレートからすぐ使える
- マイクロソフトのAI基盤:Azure AI / Copilot系の技術に支えられた高精度なモデル
2. AI Builderでできること(代表的なAIモデル)
AI Builderで利用できるAIモデルは多数ありますが、ここではビジネス現場で使われることが多い代表的な機能を分かりやすく紹介します。
2-1. フォーム処理(請求書・領収書・申請書の自動読み取り)
フォーム処理(Form Processing)は、PDF・画像ファイルから必要な項目のみを自動抽出するAIモデルです。
例えば、請求書PDFから以下のような項目を自動で読み取り、Power Automate のフローで会計システムやExcelに登録できます。
- 請求書番号
- 請求日
- 支払期限
- 取引先名
- 金額・税額
この機能を使えば、紙の請求書やPDFを見ながら手入力していた作業を大幅に削減できます。
2-2. ドキュメント処理(契約書・見積書など長文ドキュメントの解析)
フォーム処理が「決まった形式の帳票向け」であるのに対して、ドキュメント処理はより自由度の高い文書(契約書・見積書・レポートなど)を対象にしたAIです。
事前に「抽出したい項目」を定義し、複数パターンのドキュメントで学習させることで、多様なフォーマットの書類から欲しい情報だけを抜き出すことができます。
2-3. 画像認識(オブジェクト検出、画像分類)
画像認識機能では、写真や画像に写っている対象物を判定・分類できます。
- 工場や店舗での「製品の種類」「不良品判定」
- 設備・機器の型番識別
- 現場写真から安全装備の有無を判定
スマホやタブレットで撮影した画像をPower AppsからAI Builderに渡し、その場で判定結果を表示したり、Power Automate経由で記録・通知したりといった使い方が可能です。
2-4. テキスト認識(OCR)・手書き文字の読み取り
テキスト認識(OCR)では、画像やスキャンした書類から文字情報を抽出できます。印刷された文字だけでなく、手書き文字の認識にも対応しているのが特徴です。
アンケート用紙、紙の申込書、FAXで届いた注文書などをデータ化し、Power Automateで自動登録・自動通知するシナリオでよく使われます。
2-5. 感情分析・テキスト分類
感情分析は、入力された文章が ポジティブ・ネガティブ・ニュートラル のどの傾向かを判定するAIです。
- お問い合わせメールの内容を自動でスコアリングし、緊急性が高いものだけTeams通知
- アンケート自由記述の満足度傾向を一括分析
- SNSのメンションやレビューの傾向を把握
また、特定のカテゴリに振り分けるテキスト分類モデルを自作し、問い合わせの内容から「製品A関連」「請求関連」「技術サポート」などに自動仕分けすることも可能です。
2-6. 予測モデル(売上予測・離反予測 など)
予測(Prediction)モデルでは、過去のデータからパターンを学習し、将来の結果を予測できます。
- 顧客ごとに「解約/継続」の確率を予測
- 見込み案件の「受注確度」をスコアリング
- 在庫や売上の予測に基づく発注支援
ExcelやDataverseに蓄積された過去データを元にノーコードで予測モデルを作成し、Power Automateのフローから定期的に予測を実行、結果をTeamsやメールで共有することができます。
3. Power Automate/Power Apps との連携イメージ
3-1. Power AutomateでのAI Builderの使い方
Power Automate では、フローのアクションとして簡単に AI Builder を呼び出せます。
例:請求書PDFをメールで受信 → SharePointに保存 → AI Builderでフォーム処理 → 抽出したデータをExcel/ERPに登録
- トリガー:「Outlook でメールを受信したとき」
- 添付ファイルを SharePoint に保存
- AI Builder「フォーム処理」アクションで請求書PDFから必要項目を抽出
- 抽出した値を元に、Excelテーブルや業務システムのレコードを自動作成
- 登録結果を Teams へ通知
このように、AIによる情報抽出 → データ登録 → 通知までをフローで一気に自動化できます。
3-2. Power Apps でのAI Builderの使い方
Power Apps では、アプリ画面に AI Builderコンポーネントを配置し、ユーザー操作と組み合わせて使うことができます。
例:現場担当者向けの「名刺管理アプリ」
- スマホアプリ(Power Apps)で名刺の写真を撮影
- AI Builderの「名刺リーダー」コンポーネントで、氏名・会社名・部署・メールアドレスなどを自動抽出
- 抽出結果をユーザーが確認・補正
- ボタンを押すと Dataverse や SharePoint リスト、Outlook 連絡先に自動登録
このように、「現場での入力作業を、AIで極力自動化する」という発想で、Power Apps と AI Builder を組み合わせると大きな効果を発揮します。
4. AI Builderの料金体系(ライセンス)
AI Builderは基本的に従量課金制(クレジット制)で提供されています。
細かい金額は時期や地域によって変わるため、最終的には公式ドキュメントでの確認が必要ですが、仕組みを理解しておくと検討しやすくなります。
4-1. AI Builderクレジットとは
AI BuilderでAIモデルを実行すると、処理内容に応じて「AI Builderサービスクレジット」を消費します。
- フォーム処理で1ドキュメントを解析 → ○クレジット消費
- 予測モデルを1回実行 → ○クレジット消費
- 画像認識で1画像を判定 → ○クレジット消費
このクレジットをあらかじめ月単位で購入しておき、その範囲内でAIモデルを利用するイメージです。
4-2. ライセンスの種類(概要)
代表的なパターンは次のようになります(内容は変動する可能性があるため、最新の情報は公式サイトを参照してください)。
- AI Builder アドオン
既存の Power Apps / Power Automate ライセンスに対して AI Builder クレジットを追加購入する方式。
例:10,000クレジット/月 といった単位で購入し、組織内で共有利用します。 - Power Platform プレミアム ライセンスとの組み合わせ
Power Apps Premium や Power Automate Premium などのライセンスと組み合わせて、必要な分だけ AI Builder クレジットをアドオンとして購入します。
重要なのは、AI Builderは「ユーザーごと」ではなく「テナント全体でクレジットを共有」する考え方である点です。
どのユーザーが実行しても、同じテナント内であれば同じクレジットプールから消費されます。
4-3. お試しで使うには?
Power Platform 環境や Microsoft 365 を利用している場合、体験版としてAI Builderを一定量まで無料で試せることがあります。
新機能の検証やPoC(実証実験)を行いたい場合は、まずはトライアル環境で小さく試すのがおすすめです。
最新の料金・クレジット単価・トライアル条件については、必ず以下を確認してください。
- Microsoft公式ドキュメント(AI Builder のライセンス/価格ページ)
- Power Platform 管理センターでのクレジット残量と利用状況
5. 具体的な活用例・ユースケース
ここからは、Power Automate/Power Apps と AI Builder を組み合わせた、具体的な利用シナリオを紹介します。
5-1. 経理・バックオフィス業務の効率化
- 請求書・領収書の自動読み取り(フォーム処理)
- 経費精算のレシート自動読取と経費区分の自動付与
- 支払期限の自動抽出とリマインドメール送信
これらをPower Automateでフロー化することで、手入力や確認作業を大幅に削減できます。
5-2. 営業・マーケティングでの活用
- 展示会や名刺交換で集めた名刺の自動デジタル化
- 問い合わせ内容の自動分類と担当者への自動アサイン
- 顧客フィードバックの感情分析による満足度把握
- 案件データを基にした受注確度の予測スコアリング
これにより、営業担当者は入力作業から解放され、本来の顧客対応に集中できるようになります。
5-3. 現場・フィールドワークでの活用
- 点検現場での写真撮影 → AIで異常箇所を特定
- 設備のシリアル番号や銘板を画像認識で読み取り、自動登録
- 安全点検チェックリストの紙記入 → 写真撮影 → テキスト認識で自動データ化
Power Apps のモバイルアプリに AI Builder を組み込むことで、紙の帳票やExcelベースの現場作業を一気にデジタル化することができます。
6. AI Builder導入のポイント・注意点
6-1. まずは「どの業務をAIで楽にしたいか」を明確にする
AI Builderはとても多機能なため、最初は「何から始めればいいか分からない」という状態になりがちです。
そこで、現場の具体的な課題から逆算してAI活用を考えるのがおすすめです。
- 紙の書類やPDFを見ながらの手入力が多い
- メールや問い合わせの仕分け作業に時間がかかっている
- 写真付きの点検報告をExcelに転記している
こうした業務があれば、AI Builder のフォーム処理、テキスト認識、画像認識が特に効果を発揮します。
6-2. データ品質とセキュリティに注意
AI Builderは入力されたデータの品質に大きく依存します。
ぼやけた写真・傾いたスキャン・手書きが読みにくい書類などでは、精度が落ちる可能性があります。
また、個人情報や機密情報を扱う場合は、以下を事前に確認しましょう。
- 組織のセキュリティポリシーとの整合性
- データが保存される場所(DataverseやSharePointなど)の管理方法
- アクセス権限・共有範囲の設計
6-3. 料金(クレジット消費)を見ながらスモールスタート
AI Builderは従量課金制のため、いきなり大量処理を流すとクレジットを一気に消費してしまう可能性があります。
- 最初は少量のデータでPoC(検証)する
- フローを定期実行にする前に、想定クレジット消費量を計算する
- 管理センターでクレジット消費状況をこまめに確認する
こうした工夫により、コストを抑えつつ効果的にAI Builderを活用できます。
7. まとめ:AI BuilderでPower Automate/Power Appsに「AIの一手間」を
Power Automate/Power AppsのAI Builderは、専門的なAI知識がなくても、業務フローやアプリにAI機能を組み込める強力なツールです。
- ノーコードでフォーム処理・画像認識・テキスト認識・感情分析・予測などが利用可能
- Power Automate での自動化フロー、Power Apps の業務アプリにシームレス統合
- クレジット制の料金モデルのため、利用量に応じてスケールできる
- 経理・営業・現場など、さまざまな部門で具体的な効果を出しやすい
まずは、「紙やメールの手入力を減らす」「問い合わせや名刺の処理を自動化する」といった分かりやすいテーマから、小さく試してみるのがおすすめです。
AI Builderをうまく活用すれば、Power Automate/Power Appsの価値をさらに高め、現場主導のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させることができます。
AI Builderの実際の操作画面や具体的な設定手順については、動画で理解するとイメージしやすくなります。興味のある方は、以下の動画もあわせて確認してみてください。