AI Builder
2026.06.28

ノンプログラマーでも簡単!AI Builderを使ったAIモデルの作成手順

ノンプログラマーでも簡単!AI Builderで実現するAIモデル作成入門ガイド

ノンプログラマーでも簡単!AI Builderを使ったAIモデルの作成手順

「AIを業務に活用したいけれど、プログラミングはよく分からない…」という方におすすめなのが、Microsoft Power Platform に含まれる AI Builder です。AI Builderを使えば、ノンプログラマーでもブラウザ上の操作だけで、業務で使えるAIモデルを簡単に作成できます。

この記事では、「ノンプログラマーでも簡単!AI Builderを使ったAIモデルの作成手順」というテーマで、AI Builderの基本から、実際のモデル作成ステップ、活用アイデアまでを分かりやすく解説します。これからAI活用を始めたいビジネスパーソンや、現場担当者の方に向けた入門ガイドです。


目次

1. AI Builderとは?ノーコードで使えるAIプラットフォーム

まずは、AI Builderの概要を押さえておきましょう。

1-1. AI Builderの基本概念

AI Builder(エーアイビルダー) は、Microsoft Power Platform(Power Apps / Power Automate / Power Pages / Power BI)から利用できる、ノーコード/ローコードのAI機能です。難しいコードを書くことなく、画面操作だけでAIモデルを作成し、業務アプリや自動化フローに組み込めるのが一番の特徴です。

代表的な活用シーンとしては、次のようなものがあります。

  • 請求書や見積書からの自動データ抽出(フォーム処理)
  • 名刺や書類の画像から文字を読み取る(OCR)
  • 問い合わせ内容の自動分類・感情分析
  • 売上や需要の予測
  • 商品画像の判別・分類

従来であれば、データサイエンティストやエンジニアに依頼しなければ難しかったことが、現場担当者レベルでも扱えるようになるのがAI Builderの強みです。

1-2. ノンプログラマーに向いている理由

AI Builderがノンプログラマーに向いている理由は、大きく3つあります。

  1. 画面操作中心のノーコード:ドラッグ&ドロップやウィザード形式の操作で、AIモデルの作成から学習、公開まで行える。
  2. テンプレートが豊富:よくある業務パターン(フォーム処理、予測、テキスト分類など)に合わせたテンプレートが用意されており、設定項目もガイド付き。
  3. Power Platformとの連携:作成したAIモデルを、Power AppsのアプリやPower Automateのフローにすぐ組み込めるため、「作って終わり」ではなく「業務で使える」状態まで一気通貫で進められる。

このように、AI Builderは「プログラムを書かずにAIを業務に組み込む」ための強力なツールです。


2. AI Builderで作成できる主なAIモデルの種類

AI Builderでは、用途に応じたさまざまなタイプのAIモデルを選んで作成できます。代表的なものを押さえておきましょう。

2-1. フォーム処理(請求書・見積書の自動読み取り)

紙やPDFの請求書・見積書・申請書などから、日付、金額、取引先名などの項目を自動で読み取るモデルです。バックオフィスの定型作業を大幅に削減できます。

2-2. テキスト分類・感情分析

問い合わせメールやアンケートの自由記述、SNSのコメントなどのテキストを、
「クレーム/要望/質問」といったカテゴリーに自動分類したり、「ポジティブ/ネガティブ」を判定したりできます。

2-3. 予測モデル

売上や需要、離反確率など、数値や判定結果を予測するモデルです。過去のデータからパターンを学習し、将来の結果を予測します。営業や在庫管理の現場で活用しやすいモデルです。

2-4. 画像認識モデル

商品画像や現場写真などをもとに、「どのカテゴリの商品か」「異常があるかどうか」などを自動判定するモデルです。製造・小売・建設など、現場系の業務で特に威力を発揮します。

このほかにも、名刺の読み取りやオブジェクト検出など、用途に応じたモデルが多数用意されています。
この記事では、ノンプログラマーでも取り組みやすい テキスト分類モデル を例に、AI BuilderでのAIモデル作成手順を解説していきます。


3. 事前準備:AI Builderを使うための環境確認

AI Builderを使うには、いくつかの前提条件があります。まずは環境を確認しておきましょう。

3-1. ライセンスと環境

  • Microsoft 365 または Power Apps / Power Automate のライセンス
  • AI Builderが有効になっているテナント
  • 利用するデータソース(Dataverse、SharePoint、Excelなど)へのアクセス権

詳細なライセンス条件は変更されることがあるため、最新情報はMicrosoft公式ドキュメントで確認してください。多くの企業テナントでは、試せる環境がすでに用意されているケースもあります。

3-2. 必要なスキルセット

AI Builder自体はノーコードで扱えますが、次のようなビジネススキルがあるとスムーズです。

  • 自社の業務プロセスの理解(どの作業をAIで効率化したいか)
  • Excelレベルのデータ理解(列と行、項目名、データ型など)
  • Power Apps や Power Automate の基本的な操作経験(あると望ましい)

逆に言うと、プログラミング経験や機械学習の専門知識は必須ではありません。まずは「AIにやらせたい仕事」を明確にするところから始めましょう。


4. ノンプログラマー向け:AI BuilderでのAIモデル作成手順

ここからは、AI Builderを使ってAIモデルを作成する全体の流れを、ステップバイステップで解説します。例として、問い合わせ内容を「クレーム/質問/要望」に分類するテキスト分類モデルを作るイメージで読み進めてください。

ステップ1:AI Builderにアクセスする

  1. Microsoft 365(Office.com)にサインインします。
  2. Power Apps もしくは Power Automate を開きます。
  3. 左メニューから 「AI Builder」 を選択します。
  4. 「AIモデルを探索」「AIモデルの作成」といった項目が表示されれば準備完了です。

ステップ2:モデルの種類を選ぶ

AI Builderの画面では、用途別のモデルタイプがタイル状に並んでいます。ここから目的に合ったものを選びます。

  • フォーム処理(請求書・領収書など)
  • テキスト分類
  • 感情分析
  • 予測
  • カテゴリ分類(画像) など

今回は例として 「テキスト分類」 を選択し、「モデルの作成」ボタンをクリックします。

ステップ3:モデル名と目的を設定する

モデル作成ウィザードが開いたら、次のような基本情報を設定します。

  • モデル名:例)「問い合わせ種別分類モデル」
  • 説明:例)「問い合わせ内容をクレーム/質問/要望の3種類に自動分類するモデル」
  • 言語や地域設定:扱うテキストの言語に合わせて日本語を選びます。

この段階で、「どんな入力に対して、どんな出力(結果)を返すモデルなのか」をできるだけ具体的にイメージしておくと、後のチューニングがやりやすくなります。

ステップ4:学習用データを準備する

AIモデルを作るうえで最も重要なのが 学習データ です。AI Builderでは、次のようなデータソースを学習に利用できます。

  • Dataverse テーブル
  • SharePoint リスト
  • Excel ファイル(OneDriveやSharePoint上)
  • SQL データベース など

テキスト分類モデルの場合、学習データは概ね次のような構造になっていればOKです。

問い合わせ内容(テキスト) 分類ラベル
商品がまだ届きません。配送状況を確認してください。 クレーム
領収書の発行方法を教えてください。 質問
定期購入プランの回数を増やしてほしいです。 要望

ポイントは、十分な件数ラベル付けの質 の2つです。

  • 件数:カテゴリ数にもよりますが、最低でも数百件、可能なら1,000件以上あると安定しやすい
  • 質:同じ内容に対して常に同じラベルが付いていること(「クレーム」と「苦情」など表記揺れを避ける)

もし学習データが少ない場合は、まずは小さく作って試し、徐々にデータを増やしていくアプローチがおすすめです。

ステップ5:AI Builderにデータを読み込ませる

  1. AI Builderのモデル作成画面で、「データの追加」 をクリックします。
  2. 使用するデータソース(Dataverse / SharePoint / Excel など)を選択します。
  3. 対象のテーブルやファイルを指定し、学習に使う列(テキスト列とラベル列)を選択します。
  4. プレビュー画面で、正しく読み込めているかを確認します。

この段階で、不要な列は外しておくと学習がシンプルになります。また、欠損値や明らかな誤入力があれば、事前にデータソース側で整備しておきましょう。

ステップ6:モデルを学習(トレーニング)する

データが準備できたら、いよいよAIモデルの学習です。

  1. モデル設定画面で内容を確認し、「トレーニング」 ボタンをクリックします。
  2. AI Builderが自動的にデータを解析し、最適なアルゴリズムで学習を行います。
  3. 学習には数分〜数十分かかる場合があります(データ件数に依存)。

ノンプログラマーにとってありがたいのは、この学習プロセスで 一切コードを書く必要がない 点です。裏側では高度な機械学習処理が行われていますが、ユーザーは「トレーニングを開始する」ボタンを押すだけで済みます。

ステップ7:モデルの精度を評価する

トレーニングが完了すると、AI Builderがモデルの精度レポートを表示します。

  • 全体の精度(正解率)
  • カテゴリごとの精度
  • 学習に使用したデータ件数

このとき、次のような視点で確認するとよいでしょう。

  • 全体の精度が業務利用に十分か(例:80〜90%以上など、業務要件による)
  • 特定のカテゴリだけ極端に精度が低くないか
  • 学習データの偏り(特定カテゴリの件数が少なすぎるなど)がないか

もし精度が十分でない場合は、

  • 学習データを追加する(特に誤判定が多いパターン)
  • ラベルの表記揺れや誤りを修正する
  • 不要なデータを削除してノイズを減らす

といったチューニングを行い、再度トレーニングを実行します。

ステップ8:モデルを公開(運用環境で利用可能に)

精度に納得がいったら、モデルを 公開 して、実際の業務で利用できるようにします。

  1. モデル詳細画面で 「公開」 ボタンをクリックします。
  2. 公開が完了すると、Power Apps や Power Automate から呼び出せる状態になります。

公開後も、必要に応じてモデルを再トレーニングしたり、バージョン管理したりできます。業務での利用状況を見ながら、継続的に改善していく意識が重要です。


5. 作成したAIモデルを業務で活用する具体例

AI Builderで作ったAIモデルは、単体ではなく、必ず何かのアプリケーションやフローから呼び出して使います。ここでは、代表的な連携パターンを紹介します。

5-1. Power Automateで問い合わせメールを自動分類

先ほど作成した「問い合わせ種別分類モデル」を、Power Automate のフローから呼び出す例です。

  1. トリガーとして「Outlookでメールを受信したとき」を設定。
  2. メール本文をAI Builderのテキスト分類モデルに渡すアクションを追加。
  3. 分類結果に応じて、担当部署ごとのフォルダーにメールを振り分ける。
  4. クレームと判定されたものは、Teamsで即時通知する。

このようなフローを一度作成しておけば、日々のメール振り分け作業をAIが自動で行ってくれるようになります。

5-2. Power AppsでAI活用アプリを作成

Power Apps からAIモデルを呼び出して、現場で使えるアプリを作ることも可能です。

  • 現場担当者がアプリにテキストを入力すると、その場で種別をAIが判定
  • 画像を撮影すると、自動でカテゴリを分類して記録
  • フォームに添付した請求書PDFから、金額や日付を読み取って自動入力

これらも、Power Appsの「AI Builder」コントロールをキャンバスアプリに配置し、作成済みのAIモデルを選択するだけで実現できます。

5-3. まずは小さなユースケースから始めるのがおすすめ

AI活用というと、大掛かりなプロジェクトを想像しがちですが、AI Builderを使う場合は、小さな業務改善から始める のが成功のコツです。

  • 1日に10〜20件程度発生する単純作業
  • ルール化しづらく、人が目で見て判断している作業
  • 担当者が「できれば自動化したい」と感じている作業

このような業務は、AI BuilderのAIモデルとPower Automate/Power Appsの組み合わせで、自動化・効率化しやすい領域です。


6. ノンプログラマーがAI Builderを使うときのポイントと注意点

最後に、ノンプログラマーがAI BuilderでAIモデルを作る際に意識しておきたいポイントをまとめます。

6-1. 「AIに任せる範囲」を明確にする

AI BuilderでAIモデルを作る前に、次のような点を整理しておきましょう。

  • AIにやらせたいのは「分類」なのか、「予測」なのか、「抽出」なのか
  • AIの判定結果を、業務上どう使うのか(自動振り分け/人の最終確認付き など)
  • どのくらいの精度を求めるのか(100%は目指さず、実用上十分なラインを決める)

これを決めておかないと、「思ったほど便利じゃない」と感じてしまう原因になります。AIはあくまで判断を補助するツールと捉え、最初は人の確認を前提に設計すると安心です。

6-2. 学習データの品質がすべて

AI Builderのアルゴリズム自体はMicrosoft側で最適化されていますが、結果の良し悪しはほぼ学習データで決まります

  • 誤ったラベルが付いているデータを減らす
  • 極端に偏ったデータ(特定カテゴリばかり)を避ける
  • 定期的に新しいデータを取り込み、モデルを更新する

「AIが賢くない」のではなく、「AIに教えたデータが不十分」なだけ、というケースがほとんどです。モデル作成の時間よりも、データ整備に時間をかけるつもりで取り組むと、結果的に精度の高いAIが出来上がります。

6-3. 小さく試して、改善を重ねる

AI Builderのメリットは、試行錯誤のコストが低い ことです。

  • まずは少ないデータでモデルを作ってみる
  • テスト運用で使いながら、誤判定の例を集める
  • 改善したデータを使って再トレーニングする

このサイクルを数回回すだけでも、業務で使えるレベルのAIモデルに近づいていきます。「一発で完璧なAIを作る」のではなく、「現場で使いながら育てていく」イメージを持つと、ノンプログラマーでも気負わずに取り組めます。


7. まとめ:AI BuilderでAI活用の第一歩を踏み出そう

この記事では、「ノンプログラマーでも簡単!AI Builderを使ったAIモデルの作成手順」というテーマで、AI Builderの概要から具体的なモデル作成ステップ、業務での活用例や注意点までを解説しました。

ポイントをおさらいすると、次の通りです。

  • AI Builderは、ノーコードでAIモデルを作成できるPower Platformの機能
  • フォーム処理、テキスト分類、予測、画像認識など、用途別のモデルが豊富
  • モデル作成は「モデルタイプ選択 → データ準備 → トレーニング → 精度評価 → 公開」の流れ
  • 作成したモデルはPower AutomateやPower Appsから呼び出して、実際の業務に組み込める
  • 成功のカギは、学習データの質と、小さく始めて改善を重ねる姿勢

プログラミングの知識がなくても、AI Builderを使えば、目の前の業務をAIで効率化することは十分に可能です。まずは、日々の業務の中から「AIに任せられそうな作業」を1つ見つけて、AI Builderで小さなモデル作成にチャレンジしてみてください。

実際の操作画面や、より具体的な手順を動画で確認したい方は、以下の動画も参考になります。

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