ルールを守らない社員に悩む中小企業の社長へ|3つのステップで職場を変える方法
「せっかくルールを作っても、現場の社員が守ってくれない…」
とくに営業スタッフなど、成果さえ出していれば多少ルールを破っても仕方がない、という空気が残っている職場では、社長や管理職がいくら新しい仕組みを導入しても、現場で形骸化してしまうことが少なくありません。
本記事では、動画で語られていた内容をもとに、「ルールを守らない社員」への具体的な向き合い方を、30人以下の中小企業の社長向けに整理してお伝えします。
- なぜ社員はルールを守らないのか
- ルールを浸透させる「目的の伝え方」
- ルールづくりに社員を巻き込む具体的な方法
- それでも守らない社員への評価・最終対応
単に「守らせる」のではなく、社員が自分から守りたくなるルール運用を目指すための考え方と手順を解説します。
なぜ社員はルールを守らないのか?まずは原因を整理する
多くの社長が「うちの社員は意識が低い」「言うことを聞かない」と感じがちですが、動画の中で語られていたポイントは、もっと本質的です。
ルール違反は、必ずしも“反抗心”だけが原因ではないということです。
営業は「ルールより数字」という文化で育っていることが多い
営業職はとくに、昔から「売上を上げていれば多少のことは目をつぶる」という文化が強い現場が多くあります。
- 多少ルールを破っても、結果さえ出していれば評価される
- 細かい社内ルールや書類仕事は「カッコ悪い」「時間のムダ」と感じている
- 上司自身も若い頃に似たような価値観で育ってきた
その結果、「ルール」という言葉自体が、営業にとっては「破るもの」「縛られるもの」として認識されてしまっているケースが少なくありません。
目的を知らないまま「ルールだから」で押し付けられている
動画の中では、日報に関するエピソードが紹介されていました。
・数字はしっかり上げている営業マンに対して、上司が「日報を出せ」と繰り返し指示する
・しかし日報を書く目的は一切説明されず、「ルールだから」の一言で片付けられていた
このとき当人は、
- 「読んでいるのかどうかも分からない」
- 「フィードバックもない」
- 「成績も出しているのだから、日報より営業に時間を使いたい」
と感じ、「意味がない仕事を強制されている」という不満を抱いていました。
ところが、後から先輩から本来の日報の目的を聞かされます。
- 新人営業と熟達した先輩・上司の「橋渡し」としての日報
- 営業スタイルや訪問先、時間の使い方を見て、より良いアドバイスをするための材料
- 困っていることや悩みを文字にして相談できる「駆け込み寺」としての役割
つまり、日報は社員を縛るためではなく、成長を支援・フォローするための仕組みだったのです。
この目的を最初にきちんと伝えず、「ルールだから」で押し付けていた上司側にも問題があったというのが重要なポイントです。
「ルールの目的を伝えない」こともまた、会社全体の責任
動画では、ルールを守らない社員だけでなく、ルールの目的を伝えてこなかった会社側にも罪があるという視点が語られていました。
- ルールの背景・目的を共有していない
- なぜ必要かを理解させるコミュニケーションが不足している
- ルールが形骸化し、「やること」だけが残って目的が忘れられている
この状態で、「社員がルールを守らない」と社員側だけを責めても、根本的な解決にはつながりません。
まずは社長・管理職自身が、「そのルールの本当の目的は何か?」を言語化し、社員と共有するところから始める必要があります。
ステップ1:ルールの「目的」と「メリット」を丁寧に伝える
ルールを浸透させるうえで、最初にやるべきことは「目的の共有」です。
単に「こう決めたから守ってくれ」ではなく、
- このルールは何のためにあるのか
- ルールを守ることで本人にどんなメリットがあるのか
- チーム全体・会社全体としてどんな良い変化が起きるのか
という点までしっかり伝えることが重要です。
営業スタッフに伝えるべき3つのポイント
とくに営業スタッフのように、日々数字を追っている人たちには、次の3点を意識して伝えると納得感が高まります。
- 自分の成果にどう影響するか
例:日報をきちんと書くことで、訪問の組み立て方や時間の使い方について、先輩から具体的なアドバイスがもらえる。結果的に契約率や売上アップにつながる。 - 自分の働きやすさがどう変わるか
例:ルールを整えることで、社内の事務処理がスムーズになり、営業が本来の仕事に集中できる。 - チームの連携にどう寄与するか
例:営業と事務・講師陣の間で情報共有が進み、クレームやダブルブッキングなどのトラブルが減る。
このように、「守らないと怒られるから」ではなく、「守ることで得をするから」という視点で話すことが大切です。
「目的を言えないルール」は見直し候補
もし社長自身が、あるルールについて「なぜそれが必要なのか」を説明できないとしたら、そのルールはそもそも見直しが必要です。
- 昔からやっているから
- 前任の上司が決めたから
- 何となく「やったほうがよさそう」だから
このレベルの理由しか出てこないルールは、現場からすると「意味のない業務負荷」にしか見えません。
社員に守ってほしいルールであればあるほど、目的と効果を言語化して伝えられるかどうかを、まず社長・管理職側が自問することが必要です。
ステップ2:ルールづくりのプロセスに社員を巻き込む
目的を伝えてもなお、現場が「ピンとこない」「自分ごとにならない」という場合は、ルールづくりの段階から社員を巻き込むのが有効です。
プロジェクトチームを作り、一緒に考える
動画で紹介されていたのは、次のようなアプローチです。
- 営業と事務・講師など、関係する部署からメンバーを募る
例:営業2名、事務2名、講師1名、管理職1名など、部門をまたいだメンバー構成にする。 - 「どうすればお互い気持ちよく仕事ができるか」をテーマに話し合う
単に「ルールを増やす」のではなく、現場の困りごと・摩擦・ストレスの元を出し合い、「それを解消する仕組み」としてルールを設計していく。 - あえて“いちばん守らない社員”もメンバーに入れる
ここが重要なポイントです。もっともルールを守らない社員ほど、実は現場のリアルな感覚や不満をよく知っています。その当事者を巻き込むことで、「現場にフィットしたルール」を一緒に作ることができます。
人は「自分が関わって決めたルール」には責任感を持ちやすいものです。
逆に、上から一方的に降りてきたルールには、「やらされ感」しか残りません。この違いは、長期的な定着力に大きく影響します。
巻き込むことで「腹落ち」し、態度が変わる
ルールを作るプロセスに参加した社員は、
- なぜそのルールが必要か
- どんなトラブルを防ぐためのものか
- どの程度なら現場の負担として許容できるか
を、自分の言葉で語れるようになります。
その結果、
- 「面倒だが必要だ」と理解したうえで行動する
- 他のメンバーにもルールの意味を説明しようとする
- 自分が関わって決めた以上、「自分が率先して守らないと」と感じる
といった変化が生まれます。
ルールを守らない社員ほど、プロセスに巻き込むことで意外と良い変化を見せるケースが少なくありません。
ステップ3:評価制度に「ルール遵守」を組み込む
目的を伝え、プロセスに巻き込み、それでもなおルールを守れない社員がいる場合は、評価制度と連動させることを検討しましょう。
「アメとムチ」をうまく使う
動画の中では、次のような手法が紹介されていました。
- 人事評価や目標管理シートの中に、「ルール遵守」に関する項目を入れる
- 例:『社内ルールを遵守し、営業と事務の連携を円滑にする』など、具体的な行動目標として記載
- その項目に、評価全体の20%程度のウェイトを持たせる
こうすることで、ルール遵守がボーナスや給与に一定程度影響する仕組みができます。
もちろん、いきなり大きな割合を設定すると反発を招くため、まずは20%前後から始めるのが現実的です。徐々に、会社の文化として「ルールを守るのが当たり前」という土壌を作っていくイメージです。
「そこそこやる」状態から習慣化へ
評価に組み込むと、社員の多くは少なくとも「最低限はやろう」という意識になります。
- 最初は「評価のため」に仕方なくルールを守る
- 続けるうちに、ルールを守ること自体が習慣になる
- 習慣になると、わざわざ意識しなくても自然にできるようになる
とくに中小企業の場合、現場の習慣づくりには時間がかかるものです。評価と連動させることで、「続ける理由」を作ることができます。
それでもまったく改善が見られない場合は、いよいよ次のステップを検討せざるを得ません。
それでも守らない社員には、社長が正面から向き合う
ここまでのステップを踏んでもなお、ルールを守らない社員がいる場合、動画では次のように語られています。
「そこまでやってダメなら、正直うちの会社では働けないと思う」
つまり、
- 目的も説明した
- ルールづくりにも参加してもらった
- 評価制度にも反映した
という段階までやってなお改善されないのであれば、その社員は会社の価値観・方向性と根本的に合っていない可能性が高い、ということです。
社長が「これからの会社の方向性」を丁寧に伝える
最終ステップとして、社長自身がその社員と膝を突き合わせて話す場を持つ必要があります。
- これから会社がどの方向に進みたいのか
- そのために、なぜルールが重要なのか
- あなたにどういう役割を期待しているのか
- それでもルールを守れないとしたら、お互いにとって不幸ではないか
感情的に叱るのではなく、「今後の会社の方針」と「お互いの幸せ」を軸に冷静に対話することが大切です。
そのうえで、
- 本人が腹をくくって変わると決めるのか
- 価値観の違いを認め合い、別の道を選ぶのか
をお互いに納得して決めていくことになります。
「ルールを守らない社員」への対応を、会社成長のチャンスに変える
ここまで見てきたように、ルールを守らない社員への対応は、単に「厳しく指導する」だけでは根本的な解決になりません。
動画の内容を整理すると、中小企業の社長が取るべきステップは次の通りです。
- ルールの目的とメリットを明確に伝える
・なぜ必要か、誰のためか、会社全体にどんな良い影響があるかを丁寧に説明する。
・とくに営業には、「自分の成果」「自分の働きやすさ」とのつながりを具体的に伝える。 - ルールづくりに社員を巻き込む
・営業・事務・講師など、関係部署を交えたプロジェクトチームをつくる。
・あえて「一番守らない社員」もメンバーに入れ、当事者として関わってもらう。
・「どうすればお互い気持ちよく仕事ができるか」をテーマに、一緒にルール設計をする。 - 評価制度にルール遵守を組み込む
・人事評価・目標管理に「ルール遵守」の項目を設定し、一定のウェイトを持たせる。
・ボーナスや給与と連動させ、習慣づくりを支援する。 - 最後は社長が直接対話する
・それでも守らない場合は、社長が会社の方向性と価値観を伝え、今後の働き方を話し合う。
・「お互いにとって本当に良い選択は何か」という視点で冷静に向き合う。
このプロセスを通じて、単に「ルール違反の社員を矯正する」だけでなく、
- 会社全体でルールの目的を再確認できる
- 部署間の連携・コミュニケーションが深まる
- 評価制度や人材育成の仕組みが整う
といった、副次的な成長につながります。
ルールを守らない社員にイライラするだけで終わらせるのではなく、「会社の仕組みと文化を一段引き上げるきっかけ」として捉え、今回ご紹介したステップに沿って取り組んでみてください。
30人以下の中小企業であっても、社長の意図とルールの目的がきちんと伝わり、社員が自分ごととして動ける組織は、社長が3ヶ月不在でも事業を拡大し続けることが可能です。
まずは、社内の代表的なルールを1つ選び、「目的の共有」と「社員の巻き込み」から始めてみてください。